体調悪化のためぐるんぐるんDVDをまだ見れてない僕です(´;ω;`)
今回は前回に引き続き、Perfumeグローバルサイトの新企画・歌詞翻訳サイトの目的について僕の思うところを語ってみたいと思います(頭フラフラ状態で昼頃アップしましたが、イミフだったので夜に書き換えましたすんません)!
歌詞翻訳は楽しそう
Perfumeの新企画、歌詞翻訳サイトには色々と見所が多いため、既に2つも記事を書いているのに本題の歌詞翻訳に触れるのは今回が初です。
Perfume Translyrics Project①ペルシアそしてバルセロナへ
Perfume Translyrics Project②新曲?!「STORY」って?
SNSのアカウントの関連付けが可能ということで、現地にいる少数派であろうファン達がつながるきっかけになればいいですね。
Perfumeの歌詞は直訳すると意味不明になりかねない場合や、ニュアンスが変わってしまいかねないものが多数あると思います。
なので、翻訳は海外にいるファン一人一人でだいぶ違ったものになってくる可能性があります。
僕ら日本のファンからすると、せいぜい英語とあと1つの言葉くらいでしか、そういった多様な解釈を楽しめないのが残念ですが、ある程度集まったらまとめでも作ってもらえると面白いかと思います。
一行ごとに翻訳できたり、翻訳にコメントを付けることも出来るようですから、みんなでわいわいしながら遊ぶサイトなんじゃないかなーと期待しています。
そこにファンがいるから
ところで、サイト開設直後に僕が覗いてみたところ、既にポリリズムのカタルーニャ語バージョンが投稿されていました。
僕は当初、スペイン語があるのにわざわざ同じ国の地方語カタルーニャ語を登録できるようにしたのは、複雑な歴史的背景を持つ世界各地の人々に、可能な限り寄り添う形での交流を求めている意志の表れだと考えました。
ところが、実際はもっとごくシンプルな事情ゆえなのかもしれません。
そこにファンがいるから。
自分の言語で歌詞を訳そうとしているファンが。
事務所がどれだけ世界のファンを把握しているのか分かりませんが、サイト開設とともに投稿されるなんて、よほど情熱的なファンであって、なおかつ既に翻訳済みの歌詞があったとしか思えません。
歌詞の理解を深めるきっかけにも
そんなわけで、この歌詞翻訳サイトには期待しています。
最も、その意義はファンの交流だけではないでしょう。
歌詞の理解を深めるという効果も大いに期待出来ると思います。
どうしてそう考えるかについて、1つ分かりやすい例を紹介したいと思います。
Rock’n’roll suicideはロックの自殺者?
洋楽の日本版は輸入盤に比べ割高な分、解説と歌詞の和訳が入っているのが通例です。
が、この和訳がなかなかクオリティが低い場合が多いこともまた事実です。
David BowieのRock’n’roll Suicideという奇跡の一曲があります。
伊坂幸太郎の新作タイトルに乗せられて、最近Bowie熱が高まっている僕ですが、この曲はこれまで紹介したどの曲をも超越しています。
Rock ‘N’ Roll Suicide (2012 Remastered Version)
デヴィッド・ボウイ
1972/06/06 ¥250
僕は最初、TSUTAYAでこの曲が入った「ジギースターダスト」の日本版を借りて、歌詞の翻訳を読みました。
曲名は「ロックンロールの自殺者」となっていて、歌詞中に出てくる「you’re a rock ‘n’ roll suicide」は「あなたはロックンロールの自殺者」と訳されていました。
suicideはcommit suicideで「自殺する」という意味だと習った気がしますから、恐らくは誤訳ではないのでしょう。
でもこれ、意味分かるでしょうか?
僕には分かるような分からないような、実にもやぁ〜っとした訳に思えました。
今から十年以上も前のことです、僕は当時ネットし始めの時期でよくBowieに関する記事を漁っていて、この部分をうまく訳した人はいないだろうかと思ってヤフってました(グーグルは未知の頃)。
そんななかで、とても分かりやすい訳詩サイトに出会いました(今はもう閉鎖されてしまったようです。Heroesの訳も素晴らしかったので非常に残念です)。
「you’re a rock ‘n’ roll suicide」は次のように訳されていました。
あなたはロックンロールに命を捧げようというのか
これは、これだけで十分意味が通じる訳です。
「あなたは死のうとしている」という、歌の状況が拾えます。
歌詞の意味が分かる前から、この歌がすげえことは分かっていたつもりでしたが、歌詞の意味が分かることでより思いが強まったのは間違いありません。
言語に対する理解の深さ
どうしてこんな訳になったかといえば、一つには英語と日本語に対する理解の深さの違いでしょう。
ここでsuicideは名詞です。
名詞に対して、「命を捧げようというのか」のような動詞的な訳をして良いのか、というとこれは単に英語と日本語での表現習慣の違いによるものであり、英語は名詞的、日本語は動詞的という側面があるみたいです。
このことはSEGかどっかの先生が書いた「英語らしさに迫る」という本に書いてありました(今期から東進に移られた、代ゼミの某英語講師に薦められて読んだ本です)。
例えば歌の上手い人に「You’re good at singing.」などという学校英語でよく出てくるイディオムを使ったり、「You sing well.」と動詞で「歌うまいね」というのはあまり自然ではないそうです。
それよりは、「You’re a good singer.」と名詞を使ってまとめる方が自然みたいです。
逆に、これを字面通り「あなたは良い歌手だ」というようにそのまま名詞的な日本語に訳すのは、場面によっては不自然ということになります。
「you’re a rock ‘n’ roll suicide」を、「あなたはロックンロールの自殺者」と訳すのは、「You’re a good singer.」を「あなたは良い歌手」と訳すのに似ている気がします。
つまりは、言語力の違いがRock’n’roll suicideの訳の違いを生んだ可能性は否定出来ないと思います。
大事なのは愛
しかし、それだけで歌詞の良い訳が出来るかというと、それもまた違うように思うのです。
もう一つには、やはり作品に対する愛、作品のすばらしさを伝えたいという思いが鍵になると思うのです。
翻訳は作業としてかなりしんどいものです。
翻訳してみたい、という動機がなければ。
今はもう見つけられなかった、Rock’n’roll suicideの名訳を乗せたサイトには簡単な曲の紹介も書いてありました。
そこには、この曲の終わり方が実に潔くて素晴らしい(アルバムの最後を占める感動的な曲でありながら、3分ちょっとですぱっと終わります)という称賛が書かれていました。
そしてこの潔さは、日本の芸術表現に通じるところがあるもので非常に日本的だという解釈が披露されていました(もしこれが、Bowie本人のコメントに基づく公式の見解であるのならすいません)。
訳者が、この作品を愛してやまなかったのは間違いありません。
僕は良い訳には、言語力はもちろんのこと、作品に対する愛が欠かせないと思っています。
これは僕の予感でしかありませんが、後者の方がウェイトとしては遥かに重要で、時には言語に対する理解不足を補って余りあるほどの事態が作品への愛によって引き起こされることは十分にありうると思います。
多少ふっかけ気味に言わせてもらうのなら、Perfumeが本当に愛されているのであれば、この歌詞翻訳の企画は成功するに違いありません。