偽Perfume

少年法が川崎の少年を殺したみたいな空気

(神奈川県警HPの現行レイアウト)

川崎で13歳の男の子が惨殺されるという痛ましい事件がありましたが、それに対する「少年法改正」の異様な盛り上がりにちょっと違和感が。

事件の経緯

新聞報道を斜め読みしてみたところ、流れとしては次のような感じでいいでしょうか?

被害者が一月中旬、今回の容疑者から顔にあざが残るほどのひどい暴行を受けました(暴力自体はそれより前から続いていたようです)。

この件に対し、被害者の友人の兄など数人が、加害者の家に抗議に向かったようです。

ところがそこには加害者本人はおらず、加害者の家族は警察に通報しました。

警察がそこでどういう対応をしたのかはよく分かりませんが、通報したのが加害者家族であることから、少年どうしのもめ事くらいの認識だったのかもしれません。

朝日新聞の記事では、被害者への聞き取りをしたものの、加害者とは仲直りしたから大丈夫と答えた、となっています。

この出来事に対して、加害者はちくられたことにぷちんと来て今回の犯行に及んだと自供しているようです(ということは、被害者の友人の兄なる人物は加害者よりも立場的に上の人間ということでしょうか?)。

ややこしいのは、警察に通報したのは加害者の母のようですから、被害者が警察に相談していたわけではなさそうだということです。

学校、そして親は

この間、被害者は学校に行けていませんでした。
担任の先生は何度も被害者に連絡をとっていたようですが、連絡は付かずじまいだったようです。

被害者の家は両親が離婚しており、母親は多忙の日々を送っていて子どもの状況に気付いていなかったと言っています。

事件の原因は少年法?

で、この事件のどこに少年法が絡んでいるのかが、僕には分かりません。

少年法の改正を検討するよう語る読売新聞の社説によれば、加害者が未成年である場合、懲役刑がせいぜい5ー10年の刑期になること、及び実名と顔写真の報道が出来ないことが問題のようです。

これは、どっちも事件が起こってからのことです。

もちろん、厳罰化による抑止は考えられるかと思いますけど、そんなことを常軌を逸した凶暴性をもった加害者が考えるかどうか怪しいものです。

少年法に守られていない成人は未成年より凶暴じゃない?
そんなことは全然ないでしょう。

次の被害者を守ることを考えるべきときに、それより先に「攻める」方を優先的に考えるというのは冷静さを欠いていると思います。

ネットでは既に加害者の実名や家族構成などが公開されていて、加害者に対してどっちが犯罪者か分からないようなえげつない「私刑」行動が取られているようです。

Aの自宅は住所がネットの書き込みや生中継などで拡散され、多くの人が好奇の目を向けに訪れ“観光地化”している。壁にはAの母親の出身国を指して「○○(国名)に帰りたい」と赤いスプレーで落書きされ、父親が仕事で使っていたワゴン車には別の国名が落書きされた。

近隣住民によると「火曜日の朝に(Aの)お父さんが気が付いて通報して警官が6人来ていました」。また別の住民によると「朝も夜もなく、Aさん宅に罵声を浴びせるやじ馬が後を絶たず、我々近隣も日常生活を妨害されている。中には外国語で悪意の言葉を叫ぶ人もいて、そのたびにAさんの家族が警察を呼ぶので常に騒がしい」。近所も疲れきっている。

結局は少年法をなんとかしろ、というのもこういった暴挙と大差ない、舞い上がった人たちの祭りの一種なのだと思います。

僕は最終的に少年法に手を出すことは別に可能性として否定しません。
でも今回の事件に対して真っ先に少年法改正!と声高にいうのは、ただ暴れたいだけにしか見えません。

いかに次を防ぐか

では冷静に考えたらどういった対策が考えられるか。

今回の事件では、学校もそれなりに動こうとしていましたし、被害者を守ろうとする少年グループの存在もあったようで、完全に被害者が孤立無援だったわけではないと思います。

それなのにこんな犯行が行われたと言うことは、犯人が凶暴だったとしかいいようがありません(だから彼を厳罰に処すこと自体に僕は反対しません)。

そしてそういう場合、力になって欲しいのはやっぱり警察です。

一体イジメに対して、警察はどういった形で助けてくれるのか、僕にはよく分かりません。

事件のあった川崎を含む神奈川の県警HPには、神奈川県警へのメッセージ、ありがとうの声というコーナーがあります。

が、そこには「いじめられていた僕を救ってくれました」なんていう事例はありません。

一方、少年非行に関するページには相談窓口も記載されていますし、年間数千人の非行少年を補導・検挙しているようです。

つまりは、警察は何もしていないわけではなくて、少年少女が起こす問題に対しても日々関わっているのです。

文部科学省も、いじめに関して警察が介入すべき案件について学校で生じる可能性のある犯罪行為をまとめています。

今回の事件には、警察はちょこっと関わっていますが、それはあくまで加害者の親が通報したわけで、被害者は警察に頼った形跡がありません。

僕は冒頭、被害者の痛ましいあざのあとの写真を載せました。

このような暴行は、上記文科省サイトにおける「犯罪行為」に余裕で該当すると思います。

あのような事態に至ってまで、地域の力、友情の力で解決を図るなんて幻想は捨てて、とっとと警察に出てきてもらうべきだったと思います。

ですから、今回の事件に対して僕が考える「真っ先にすべきこと」は、やっぱり少年法がどうこうといった話ではありません。

神奈川県警よ、サイトデザインの変更を

別に神奈川県警に限りませんが、やはり警察は「学校での犯罪も絶対に許さん」ということをもっと大々的に宣言して欲しいです。

神奈川県警といえば「息子はサギ」という非常にキャッチーで人目を引くフレーズ作りで知られています。

だから、そんな勢いで是非とも反イジメキャンペーンをやって欲しいです。

取り組んでいないわけではないのはサイトを見て十分分かりましたが、イジメに遭ったときはもっと警察に頼って良いのだということを広めて欲しいです。

自転車のライトが付いているかどうかの点検ばっかさせられて、イヤな思いをしている警察の方も少なくないと思います。
是非とも次なる被害者を救うのは、警察であってほしいと思います。

少年法の厳罰化よりも、イジメをしたらすぐに警察が来る、というインパクトの方が、少年少女には遥かに強烈だと思います。

そして学校の先生よりも、暴行犯罪に関しては警察の方がずっとスペシャリストだと思います。

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