偽Perfume

映画レビュー『1917 命をかけた伝令』

バレ無し

戦争って実際はどんな感じだったんだろう?

気になって本を読んだりWikipediaめぐりしたり、You Tubeで解説動画やドキュメントを見たりしていて、知識を増やしていく中で、よりリアルな現場がどんなものなのか興味がわきました。

そんなときに一番強烈な追体験をさせてくれたのが、映画でした。

『1917』は映画世界に入り込みやすい工夫が施されていて、今から100年以上も前で第二次世界大戦よりは馴染みの薄い第一次世界大戦の世界だというのに、すぐにトリップしつつ、ありありとしたリアリティとともに戦場という現場を味わえました。

僕は当時アマプラかHuluで見ましたが、今は見れないみたいなので適当にググってくださいw

舞台は第一次世界大戦大激戦の西部戦線フランス。

ドイツ軍と戦う英国の兵士である主人公ふたりが特別な任務をくだされることから物語は始まります。

銃砲飛び交う中を進んでいくシーンでのヒヤヒヤ感ときたら。
現代の日本ではほぼ感じることのない命を失う危機と隣合わせに進行するストーリーはまさに手に汗握ります。

当然のことながら、身体の痛みを伴うシーンもいくつもありますが、『プライベートライアン』冒頭みたいなとんでもないグロはほぼなしと言って良いです。

また、機械化がそこまで進んでいない時代の、手作り感満載な塹壕、家屋、街の整備、衣類などなど、現在とは異なる文化的な諸々がノスタルジーだけでないファンタジー的な魅力を持っていて、ストーリーを追うのとはまた別の楽しみもありました。

そして登場人物たちのキャラがすごくいい。

メインの兵士二人が、いい感じに一般人、下っ端で現在普通に社会人していたり、あるいは学生であっても上下関係とかに揉まれている人なら共感しまくれるシーン満載です。

いつの時代も、下っ端は苦労するし、仲間とはぶつかり合いつつも不思議な絆を持てたりするとやっぱ嬉しい。

そして、仲間たちだけでなく、故郷に残してきた家族や恋人たちへの思いを馳せる瞬間の数々。時代を超えての共感が随所にあります。

戦争を、単なる歴史的事実を超えた、当時を生きた人間一人一人の体験として見ることができた気がしました。

バレあり

以下、ストーリーのもう少し細かい部分にも若干触れつつのレビューをしていきます。

伝令をするというシンプルでわかりやすい目的がある一方で、その任務を遂行する中で主人公たちが直面する困難はそんなに単純でもありません。

特に、墜落した飛行機に乗っていた敵兵をかばおうとするところ。

傷を負った人間は敵兵であっても同情してしまうという、人間としてごく普通な感情が命取りになってしまうという悲劇。

そして致命傷を負ってしまった友人を前にしたときの、残された時間があっというまに過ぎ去っていく中での関わり。

その後いくつか見た戦争映画でも描かれていることですが、戦場で仲間を失ったとき、その仲間が生前残していたメッセージを、その仲間が伝えたかった人に伝える役割を担おうとする場面にはいつも涙なしには見られません。

もう一つ、破壊された市街地を抜けるシーンでのこと。

なんとか生き延びて隠れいてた、赤ん坊を育てている女性とのやりとり。こういう社会的な弱者に対して、戦争は過酷な運命を与えるに違いないのですが…

でも主人公は、この女性に対して実に紳士的に接します。それまでの行動を見ていれば、主人公が決して粗暴ではなく、心優しい人物であることはよくわかってるのですが、それにしても切羽詰まったこの状況でもそんな人柄が失われていないこの場面は感動しました。

いよいよ目的地に近づいたところで突如現れる、歌うたい。

その歌に聞き入る、たくさんの兵士たち。

最前線目前の、安全が確保されている最後の場所で、歌に心奪われ癒やされる兵士たちの姿が忘れられません。

そして怒涛のラスト。

主人公は与えられた任務の伝令と、道中でできたもう一つの目的、親友の思いを家族に伝えるという役割を果たすのですが…

思い出すだけで泣けちまう。

最後に出てくる上官、別の映画でアラン・チューリングやってた俳優さん(ベネディクト・カンバーバッチ)でちょっとびっくりwほんの数秒での演技でしたが、物語のクライマックスを飾る素晴らしさでした。

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