偽Perfume

玩具修理者、グロくてイヤだけど悔しいほどに良くできてる

ハンターハンターのネフェルピトーが好き。

ただそれだけの理由で読み始めた『玩具修理者』は超グロですが、それを隠れ蓑に巧妙な仕掛けを忍ばせるやり手小説です。

食事中・通勤通学中禁忌

僕は会社の帰りの電車でこの本をKindleで読みました。

気持ち悪くなって途中で降りました(^-^;

洒落にならんくらいにグロいです。
回復にはかなりの時間を要したので、通勤途中に読んでいたら間違いなく遅刻しました。

しかもただグロいっていうよりは、わりと不意打ち、お天道様がかんかん照りの白昼にいつもの日常のワンシーンという似つかわしくない場面でいきなりグロ描写が開幕してしまいます。

ちなみに、タイトルになっている玩具修理の方が語られる前に、僕が思う壮絶グロシーンは出てきます(^-^;
お勧めなんですけど、要注意です。

しかし面白い

しかしグロを目的化はしていないのがこの小説の見逃せないところ。

実際この小説では極限の痛みや恐怖といったグロ小説が好むテーマはほとんどスルーされています。
たぶん、この小説におけるグロは人の注意をそらすための道化みたいなものに過ぎません。

ラブクラフトへのオマージュも、そういった道化の一種でしょう。
ヨグ=ソトースやニャルラトホテップみたいな名前が出てきましたが、たぶん読者を煙に巻くための装置に過ぎません。

核心は最初の一文。

彼女は昼間いつもサングラスをかけていた。

このなんてこと無い、むしろだからどうしたと言いたくなるくらいのそっけない事実の秘密は何か、それだけです。

次の文からは会話が始まって、読者は自然とこの物語にのめり込んでいって、印象の薄い最初の一文は忘れ去られます。

たぶん、最後まで。

けれども最終的にはこの一文に行き着きます。
阿鼻叫喚のとてつもなく恐ろしい、いえ、おぞましい事実だったってことが分かっちゃうのです(^-^;

信じられないかもしれませんが、この一文にしてすでに作者のしかけが働いているのです。

なので、僕はグロとか超嫌いだし小説ならともかく映画なら絶対に死んでも見たくないジャンルではあるものの、この小説に関してはうまい、と言わざるをえません。

エミネム並みの、悔しいけど感じちゃうってやつでした(^-^;

酔歩する男について

ちなみに玩具修理者は短編で、もう一編作品が含まれています。
それが「酔歩する男」なのですが…

ちょっと、長すぎるかな、という感じです。

イントロはうまいし、世にも奇妙な物語にありそうな不思議なストーリーはたいへん魅力です。

少なくとも手抜きのアルケミストなんかよりは数倍技巧も上で趣向もこらされています。
ただ、凝り過ぎちゃってるかな、と。

菟原 手児奈(うない・てこな)という明らかにおかしい登場キャラの名前を見て、とりあえずググっちゃったところ、古い説話か何かに出てくる名前であることが判明し軽くネタバレしちゃうっていうのも、どうかと。

このテコナさん、異次元におかしすぎて、ちょっと怖いんです。

「菟原さん、趣味は何かな?」

「石のにおい」

「えっ!?」

「石のにおいが趣味です」

(^-^;
不思議ちゃんとかいう次元を超えてますよね。

ほかにも、

「この花の匂い、音階で言うと、ラのシャープね」

(^-^;;;;;;;;
作者さま、これいくらなんでもやり過ぎっすよ…怖すぎます。

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