今日は僕が2番目に読んだラブクラフト関連本、真ク・リトル・リトル神話大系第一巻についてお話しします。
1番目に読んだ全集第一巻に関してはこちら(インスマウスの影)。
コンセプトからして失敗(^-^;
これは日本人のラブクラフトファンが編集した、”クトゥルフ本”です。
タイトルが暗号みたいな不思議さです。ちょっとエロゲっぽい気がするのは気のせい?(エロゲなんて知らないっすけど…)
このタイトルは「クトゥルフ」の別の発音法らしいのですが、こんなくだらないところにこだわってるところに、この企画の迷走っぷりが現れてるっちゃ現れていて…
自分の作り上げたキャラクターを他人のいろんな作品に拡散させたところにクトゥルフの不気味さ、おもしろさの真骨頂があると思います。
なので、このような「クトゥルフシリーズでーす」みたいなアンソロジーはラブクラフトのやりたかったことと真逆、彼の凄さはなかなか感じにくいかもしれないです。
でも、結構面白いのもいくつかあり・・・ムラが本家より激しいです(^-^;
では、第1話からレビュります。
『廃都』☆☆☆
ラブクラフト本人の作。
タイトルがファンタジックで良いですよね!
異国を旅する先で見つけた謎の遺跡、そこで見た不可思議な壁画の話です。
クトゥルフ的に超重要なアイテム、魔導書ネクロノミコンが初めて登場する!なんてことがよく指摘されるのですが、ストーリーと絡まず名前が出てくるだけなのでかなりどうでもいいっす・・
この作品自体は、ルポっぽいリアリティを残したファンタジーといったところで良くできていると思いますが、この後に出てくる作品群でこの作品での展開や表現のパクリが出まくるので、新鮮さはなくなっていきます(^-^;
『妖魔の爪』☆☆
S.グリーンの作。
ハリウッド的とでもいいましょうか、大仰なストーリーだと思います。
タイトルのチープさは、まあラブクラフトファミリーにありがちなこととでも思っていてください…
ちなみにこの作者はラブクラフトと一時期結婚してたみたいで、そのときのエピソードが後書きで読めます。
そっちはホッコリものの良エピソードです(^-^)
『怪魔の森』☆
F.B.ロングの作。
この人の作品はこの後も何度か出て、ラブクラフトとも仲が良かったみたいなんですけど・・
はっきりいって読むだけ時間の無駄です(^-^;
華麗にスルーしましょう。
『俘囚の塚』☆☆☆☆
Z.ビショップの作。
かなり面白く、最後までみなぎる緊張感が楽しめます。
ネイティブアメリカンが住む地域にある謎の塚にまつわる幽霊話を解明しようとしていく話で、最初は単なるちょっと不思議な話なのかなって感じです。
が、途中から想像を絶する展開が始まって誤魔化しなしにガチ異世界へと誘ってくれます。
ヨトとか、クン・ヤンとか、ン・カイとか、聞いたこともないような謎の固有名詞がバンバン出てきます(^-^)
ちょっとどこの国だか判別がつかない具合がいい感じです。
付いていけなくなるくらいむちゃくちゃな壮大さが現れる、というのはラブクラフトワールドの魅力の1つで、この作品にはその魅力が存分に満ちています。
地球を一歩も出ないのですが、まるで宇宙旅行しているような気分を味わえます。
そしてエンディングの感動。
非現実を現実とリンクさせるというテクニックブラヴォー。
電気処刑器☆☆
A.デ・カストロの作。
世にも奇妙な物語にありそうな、変な人と狭い空間で一緒になっちゃって大変な目にあう話です。
モチーフは面白いと思うのですが、色々アラがあるのと、なんとなくストーリーが読めちゃうのでこんな評価です。
夜歩く石像☆
F.B.ロングの作。
読む必要のないロングさんの作品ですので、スルーです(笑)
書き出しだけ読むとすごく面白そうな気がすると思うのですが、読まなくてイイです(笑)
中盤くらいに「ラブクラフトが実際見た夢」を使った古代ローマのエピソードがあるのですが、それはちょっと面白いです。
でもそのためだけに、ちょっと長めの本作品を読むのも時間の無駄だと思われるので、やっぱり読まなくてイイです(笑)
総括
というわけで、平均して☆2.1ちょいという、ぶっちゃけろくでなしな短編集です。
これを読んだのは、読みたくてたまらなかった全集2巻以降が最寄り図書館で長らく貸し出し中だったためです。
是非このレビューを参考にして面白いのだけ読んで見てください(笑)