偽Perfume

本当にかしゆか(ただし)

もう、本当にかしゆか。ただし、僕の夢の中での。

金髪の翼

屋内でダラダラしていて、金髪の本田翼と僕は談話していた。

本田翼と言えば聞こえは良いかもしれないが、僕にとって彼女は友人みたいなものであって、なるべく楽しく過ごしたいものの、良くも悪くもそれだけだった。

そこに正装したかしゆかが現れる。

好みの問題とはいえ、その立ち居振る舞いの美しさは別格だった。

news_header_DSC_8982

イメージ図

僕はかしゆかに飲み物を渡して話しかける。本田翼も一緒にかしゆかに挨拶して、僕たちはしばし歓談する。かしゆかと本田翼が集ったこともあって、あたりには人だかりが出来て、ちょっとしたパーティ会場みたいな賑わいを見せていた。

そして気付けば、本田翼は華やかなグループの中心にいて、僕とはだいぶ離れてしまった。

かしゆかは最初に話しかけた僕に敬意を表してくれたのか、話題が2度3度変わっても僕の隣にい続けてくれた。

ライブの話は

僕は頃合いを見て、かしゆかにしか聞こえないように言った。

「今ツアー真っ最中だよね、コズミックエクスプローラ。」

かしゆかはうん、と返事だけ。

僕は続けて言った。

「ライブ行きたかったなー。」

かしゆかは、やはり薄い反応。

もうこの話題は辞めた方がよさそうだ、と思ったところ。

かしゆかはスーッと僕の耳元に顔を近づけ、僕よりもさらに小さい声で言った。

「ライブのこと、外では聞かないで。」

それだけ言うと僕の目をみて頷く。

僕も頷く。

次の瞬間、かしゆかはまた普通のトーンに戻って、僕のワイシャツポケットに入っていた僕のケータイを取り上げた。

ケースと壁紙

Perfume仕様のスマホケースを装着していた甲斐があった。

「ケータイのケースこれにしたんだ?」

「うん。ピンクって言うけど、ほとんど紫っていうか淡い色合いですごく気に入ってる。」

かしゆかはしばらく僕のケータイを手元で転がしてじっくり観察していたが、何かの拍子に画面が起動して壁紙が表示された。

かしゆかはビックリしてケータイを僕に返して、その上で壁紙を横目で覗きこんで言った。

「ごめん、見えちゃったんだけど。この壁紙、私?」

僕は胸を張って答える。

「そう、その通り。Perfume展のやつを自分で加工してみた。」

かしゆかは、僕が自分で加工したということに感心してくれた。

僕は、この写真の美しさについて語りたかったところだが、かしゆか本人の前でかしゆか写真の美しさを演説するなんてのも馬鹿げたことに思えた。

僕は写真アプリをひらいてかしゆかやPerfumeの写真をたくさん表示させて、かしゆかにケータイを渡した。

かしゆかは画面をスクロールさせながら、僕の撮影したもの、加工したもの、などを次々と見ていって、あれこれとコメントを付けてくれた。

ガルちゃん

かしゆかは画面キャプチャらしきある画像を指差して、これは?と聞いてきた。

げ。

これはかしのちを匂わす画像のキャプチャだ。

どっかのサイトの画像を画面キャプチャで保存したものだった。

これについては、かしゆか本人にはあんまり見られたくない、見せてはいけない類のものだった。

僕は、これはガルちゃんの…といいよどんだ。

するとたまたま金髪ショートの本田翼がガルちゃんの説明を始めたのでうまく話題がそれた。

かしゆかもガルちゃんに興味津々のようで本田翼と盛り上がってしまって僕は若干取り残され気味になってしまった。

ただ、しばらくして本田翼はまた群衆へと消えていった。

Baby Face

僕はサイドボードの上に座って、足をぷらぷらさせていた。

かしゆかは横に同じように座って居て、肩と肩が触れあっていた

時々僕のケータイの画面を覗くので、その度にかしゆかに寄りかかられているみたいになった。

やがて、特に見るものがなくてもかしゆかは僕に寄りかかった。

僕はちょっと緊張したけれども寄りかかってもらえて嬉しかったので特に何も言わなかった。

それで、かしゆかは僕によりかかって、Baby Faceを歌った。

フンフフフンフン♪

最後のところは、本来は「かわいくって」と歌うところのはずだが、かしゆかは何度も適当にごまかしてスルーした。

Baby Faceは大好きだが、鬼門でもあった。

この歌は、間違いなく年下相手に歌っていて、かしゆかよりも年上である僕のようなファンにとっては鬼門なのだ。

自分に歌ってくれている、とは思えないからだ。

よりによってそんな感触を漂わす極地である「かわいくって」を誤魔化すかしゆか。

僕はちょっと大人な余裕を演じて見せた。

「照れんなよー!」

かしゆかは、笑って、歌を中断して言う。

「いやー、ねえ?」

かしゆかはしばらく笑ってて、もう続きを歌えない感じだった。

それで「何か聞きたいのある?」と聞いてきてくれた。

歌う自動車

「じゃ、Next Stage with YOUいける?」

かしゆかは僕のリクエストに対して間髪入れずに「Next Stage with YOU♪」と歌って、続きを歌い始めた。

歌詞がいいよね、と僕はかしゆかが歌う横でつぶやく。

かしゆかは一旦歌うのをやめて、「そう?ちょっと変わってない?」と聞き返す。

かしゆかは、「この歌ってさ、クルマが歌ってるんだよ」と言って少し続きを歌った。

歌いながら見解を教えてくれた。

「クルマが、人間と一緒にいたい、人間をどこかに連れて行きたい、って、願っている歌。」

僕には無かったこの発想はとても面白く、是非ともこの見解の妥当性について話し合いたいと思った。

僕たちはこのときちょっとひやひやするくらいにくっつきすぎていた。

hyde

しばらくすると僕は会議室に呼ばれてそこでhydeを待った。

彼に僕のやり方を教える予定だったが、案の定彼はろくにこちらの説明も聞かず、自分のタイミングで切り上げて部屋を出て行ってしまった。

それは別に構わないのだが、もしかしたらhydeは外でかしゆかに会うかもしれない。

まさかとは思うが、気まぐれhyde氏はかしゆかにちょっかいなんて出しはしないだろうか。

なんとなく、それはあまりいい気分のしないことだったので、特に用があるわけでもなかったが僕はhydeを追って部屋を出た。

ところが慌てて飛び出したものの、入り組んだ廊下のどこにhydeがいるかわからなかったし、どこかの小部屋に入ってしまったかもしれなかった。

再びかしゆか

僕がキョロキョロしながら大広間に出ると、そこの中央に並んだカウチに腰掛けたかしゆかがこっちを見て笑ってるのが目に入った。

僕はかしゆかに手を振った。「また会ったね。」

かしゆかは笑ったまま同じようなことを言った。

僕はかしゆかのそばに行った。

「hydeを見なかった?」

「え、ラルクの?」

「そう。さっきまで一緒にいたんだけど。」

「すごーい。それでなに、hydeさんはさらわれてしまったの?」

「いやいや、自分の意思で部屋を出て、どこかに行ってしまった。」

「で、探してるんだ。見つけるの手伝おうか?」

僕は苦笑して言った。

「いや、もういいよ。」

クレヨンのくろ

かしゆかは立ち上がる意思などまるでないかのように、深くソファに座っていた。

僕はその場に立ち尽くしてかしゆかと話していた。

しばらくしてかしゆかは僕を見て言った。

「座らない?」

そう言って空いている隣の空間をちらと見た。

僕は遠慮無く隣に座った。

改めて、かしゆかの美しい黒髪を間近に見て、先ほどはほとんど触れられなかったこの髪について話したくなった。

Perfumeの武器、黒髪。

僕は満を持してかしゆかの髪について質問を始めた。

「髪、ほんと黒いね。」

かしゆかは意外そうに言った。

「え、今?」

今更?みたいなニュアンスだったが僕は怯まなかった。

「今っていうか、ずっと気になってる。この髪の色をなんと表現したものか。」

かしゆかは即答した。

「黒でしょ、今自分で言ったように。」

僕は問題を整理しようとした。

「黒にも色々あるから。髪の色も人それぞれだけど、黒ってその総称に過ぎない。」

そして続けて僕は、「日本女性の髪の色なら、烏の濡れ羽色っていう理想美の表現もある…」と言おうとしたのだが、その前にかしゆかは言った。

「それなら、ひらがなのくろだね」

僕は面食らって、え?みたいな間抜けな反応をしてしまう。

ひらがなの、くろ?だと?

それからかしゆかはちょっと思案したそぶりをみせて、言った。

「あ。クレヨンのくろでもいいかも。」

頭のついていかない僕に対して、かしゆかは最後通告をだした。

「ま、そんなところでいいんじゃない?」

本当にかしゆか

なんとなくまたまったりとしてきて、かしゆかもこちらに寄りかかりつつあるような気がしてきたのでまたお願いをしてみた。

「ところでかしゆか。またBaby Faceが聞きたい。」

かしゆかは全くもって曇りのない笑顔で言った。

「うん、聞けば?」

・・・(^ー^;

かしゆかめ・・・

「いや、そういう意味ではなくて。」

引き下がらない僕に対して、かしゆかは面倒くさそうだった。

「どうぞ、イヤホン付けて聞いていいから。」

「いや、だからそうじゃなくて。かしゆかに歌ってもらいたいの。さっきみたいに。」

「えーっ・・・」

あからさまにイヤそうだったので、ちょっと譲歩してみた。

「「かわいくって」を誤魔化しても何も文句いわないから。」

しばらくそんな駆け引きをした末に、かしゆかは聞こえるか聞こえないかぎりぎりなボリュームでBaby Faceを歌い始めた。

あまりに小さな歌声は、ちょっとずつ大きくなっていっている気がした。

かしゆかの生歌は素晴らしかった。

あれだけイヤそうだったのに歌ってくれて本当に嬉しかったし、今回は一度だけ歌いきってくれたらもうそれでお礼を言っておしまいにしようと思った。

徐々に大きくなる歌声に伴って、なんとなくかしゆかの機嫌も良くなっているような気がした。

そして。

 き・も・ち・悪っ!

え?(^_^;)

(´・_・`)

僕の生意気は気持ち悪いと言いたいらしい・・・

なんかもう、本当にかしゆか(^ー^;
Baby Face
Perfume
2016/04/06 ¥250

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です