偽Perfume

誰かと食べたい晩ごはん

久しぶりに実家に帰り、父に会いました。

誕生日

今週父の誕生日がありました。

そこで、プレゼントを届けるために片道1時間半の道のりで実家を訪ねました。

僕は実家を、父に追い出された身です。
しかし、僕はもう、何もせず無気力に親にぶら下がる人間ではなくなりました。

学費は世話になっていますが、受験を決意したときの約束通り学費以外は全部自分のアルバイト(プラス奨学金)で賄っています。

プレゼントはビール

プレゼントの6缶入りビール(発泡酒や第三でなく、本物のビールです)をぶら下げ、実家への道を急ぎました。
すぐ食べられる鶏のおつまみも、安いものではありますが買いました。

僕が家に着くのは夜11時、メールで聞いたところ父は12時に帰宅予定。

父はいつも寝る前にビールを飲んでいました。
今日は僕が買ったビールを一緒に飲めるかもしれません。

再会

家に着くと、玄関で父に会いました。
予定より大分早く帰れたみたいです。

久しぶりなのに、なんだかいつも通りというか、やはり親子の縁というかつながりみたいなものを感じました。

で、家に入ります。
母が出て行って、祖父が亡くなってからずいぶんと広さを感じるようになった二階建ての一軒家です。

祖母もいつもどおりな感じでした。
祖父のお墓に行ってきたよ、と伝えたら父も祖母もめちゃくちゃ喜んでくれました。

「芋焼酎を持ってきたから、仏壇に供えさせてよ」 と僕は言って、お線香をあげました。

さつまの焼酎が大好きだった、九州男児のじいちゃん。

ちゃんと飲めるように、フタを開けて仏壇に置きました。

ああ、家族ってなんだかんだいいもんだ。これからも大切にしよう…
仏壇の前に跪いて考えました。

祝福

ちょっとおなかがすいてきました。
祖母にそう言うと、簡単なおかずならあるから食べて、と言って冷蔵庫からポテトとか惣菜を出してくれました。

それをレンジでチンして炊飯器からご飯を出しました。

そういえば、と思い出します。プレゼントのビールがありました。
とりあえず冷やしておきたいので、6缶ケースごと冷蔵庫に入れようと思って冷蔵庫を開けてみると。

既に、いくつものビールが入っていました。
しかも僕が買ってきた350mlより大きい500mlの6缶ケースもありました。

しくじったなぁと思いつつ、「誕生日用にビールを買ってきたから良かったら飲んでよ」と父に言いました。

父は、「大してめでたくもないさ、でもまあありがとう」と言ってくれました。

それで、父はそのまま自分の部屋に戻っていきました。

祖母は、何か用があるらしくてもう奥の自分の部屋に行ってしまいました。

晩餐

気がつけば、今夜も結局1人でごはん。

いつもの晩ごはんです。

そうすぐに何もかもうまくいくはずはないですね。

レンジでチンした総菜は、冷めるのが恐ろしく早い。

食べるのが遅い僕はいつも冷たくしてしまいます。

ごはんを食べ終わって、食器を洗い終わって父の部屋へ行きました。

Good night

実家での僕の寝床は、父の部屋を通らないといけない部屋なのです。

父はデスクでPCをいじってました。
机の上には開封された500mlのビール。

サイドテーブルには、刺身と冷ややっこ。

僕は買ってきた鶏肉のつまみがあったことを思い出しました。

でも刺身に遠く及ばない安物のつまみは必要ないだろうと判断して出さないことにしました。

僕が自分の部屋へ向かうときすれ違いざま、父と二三言葉を交わしました。
去年家を飛び出した母のことも、いつも通り多少触れました。

それで、明日も早いから、と父は部屋の隅にあるベッドに向かいました。

ゆっくりしてけよ、と言い残して。

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