短編集キリマンジャロの雪読破!しかし…
ぽくない?
タイトル作「キリマンジャロの雪」レビューです。
文体が簡潔で余計な描写をしないというのが、僕の考えるヘミングウェイの魅力ですが、キリマンジャロの雪では微妙な表現や長めの内面描写が結構続きます。
なので、他の短編のように内容云々関係無しにもはや文章を見てるだけで快感、みたいな体験は得られませんでした。
内容的にも引っかかりがありました。
途中徐々に近づく死を意識させる思考の流れが記述される中で、死の残酷な側面もしっかりと描かれるのですが、 最後の最後は随分と理想的というか、死が美化されています。
これは死を扱った小説としてちょっと陳腐じゃないかと…宗教的とでもいうのでしょうか。
まだ早い?!
僕がヘミングウェイを最初に知ったのは、吉田秋生の「バナナフィッシュ」というマンガでです。
ロシア人の殺し屋ブランカが、少年アッシュの教育係に任命される場面です。
ブランカはよく本を読んでいました。アッシュはそれを見て、何を読んでるのかと聞きます。
そのときブランカが読んでいたのが、ヘミングウェイでした。
少年アッシュが、それおもしろいの?と聞くと、殺し屋ブランカは、人の孤独について書かれた本だ、きみにはまだ早いと答えます。
英才教育を施されていた天才アッシュであっても、少年時代で早すぎたヘミングウェイということです。
ブランカが読んでいた本のタイトルは「アイランズインザストリーム」。
キリマンジャロの雪は、人の孤独と言うよりは死を扱ったものですが、僕には早かったのかもしれないです。
現段階では、良さは分かりませんでした。