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自分のルーツを探る?:石川淳「紫苑物語」②八幡縁起

美文に酔う「紫苑物語」に続くのは、神と人間を扱った「八幡縁起」。これがまた面白いんだから!

神々に充ち満ちた国、日本

僕みたいなしょぼい人間でも、誰かと話して「あ、こいつ頭使わない人だな」と思う瞬間があります。
社会に出て、大体そういうことを思わせる人間が口にすることは数パターンしかないことに気が付きました。

そのうちの1つが、「日本人は無宗教」です(他に「アメリカは歴史がない」とかがあります)。
こんなこというやつがいたら、そいつはモグリであって日本人ではありません(^-^;

日本人は、いわゆる冠詞なしのGodを信じていないというだけで、そこらじゅうにありとあらゆるところに神を見いだす民族だと思います。

基本的には神様大好きと言って良いでしょう。

ウィキペディアには「日本の神一覧」というページがありますが、そこに出てくる神様の名前ときたら、ギリシア神話なんて足下に及ばないくらい膨大な数となっています(^-^;

ほとんどが聞いたことのない名前ですけど、例えばサッカー日本代表のロゴにもなっている八咫烏(やたがらす)みたいに普通に今も親しまれている神もいます。

組織|JFA|日本サッカー協会

組織|JFA|日本サッカー協会.

そして、八幡神というのも、主に地名としてそこら中でよく見る神様の名前だと思います(八幡の名の付く神社は全国に1-2万あるそうです(^-^;コンビニみたいな神様です)。

前置きが長くなりましたが、今回紹介する「八幡縁起」は、そんなそこら中に満ちあふれている神・八幡の起源に迫る内容となっています。

前回紹介した石川淳の「紫苑物語」という文庫本に収められており、電子書籍化されているためにすぐ読めるという嬉しい本です。

控えめな文体と異形のキャラ

八幡縁起は、紫苑物語よりはとっつきにくいです。

読んだ先から心ときめく美麗な文体は、ここでは抑制気味です。

アニメ化可能なくらいの魅力的登場人物たちがいるかというと、そこも微妙です。

むしろ異形の怪物みたいなキャラが多く出てくるので、楳図かずおとか読んでる気分になってくるかもしれません(^-^;

芸術の神秘を覗かせるようなこともあまりなく、質実な職人と権力争い大好きな政治屋の対立なんていう、さしてエキサイティングでもない、歴史上はよくあったであろう争いが描かれます。

そして、紫苑物語では芸術というモチーフゆえにあくまでものの喩えとも受け取れたファンタジーの要素がさらに強まって(山が短時間に大きくなったり弾けたりします)、ああ、フィクションね、みたいな冷めた気分にさせられるかもしれません。

超・超展開

しかし、侮りがたし石川淳。

物語は途中で大きな展開を見せたかと思うと、予想だにしなかった長大な時間の経過を起こします。

幾世代も先へと、ぴょんと飛びます。

もうまるでドラえもんのタイムマシンな勢いです。

そんななかで、割とだらだら気味に描かれていた最初のエピソードの登場キャラ達がどのように時代の流れで生かされてくるのか、が見所です。

もう、これは超展開の一種であってそのなかでも特に超をさらに付け加えたくなるような予測不可能なジャンプが待っています。

もっとも、日本の歴史や神様について詳しい人にとってはそうでもないのかもしれないですけど・・・

一応言っておくと、現代には来ません(^-^;
でも現代に繋がる決定的出来事はしっかり描かれます。

神を利用する人

政治に神を利用する人たちというのは、人類の歴史でどこの国でもわりとよく居るものだと思います。

そしてそれに振り回される人たちがたくさんいます。

ただ、僕たちは神を利用する人たちのことを、神の代理人か何かと勘違いしてしまい、その戦略を見透かすようなことはあまりしないかもしれません。

でも、利用された神は、もはやもとの神と違ってしまっているに違いありません。
そこで今いる神々が、大元の本来はどういう神だったのかを考えてみるのは、僕たちが自分のルーツを探るための大事な旅になると思います。

そんな素敵な冒険に誘われるかもしれないのが、この八幡縁起という物語です。

特に歴史が好きという人ならば、読んでみるとかなり面白いんじゃないかと思います。

単純にストーリーを楽しみたいっていう人には、ちょっと疲れるかもしれませんけど、それでももしあなたが日本人なら、きっとどこか響くもののある体験が出来るんじゃ無いかと思います。

八幡縁起、おすすめです(^-^)

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