電子書籍の盟主、AmazonのKindle本が年末年始のセールをやっていますので早速覗いてみたところ…
そそるものがほとんど無い!
まずはセール品リストをご覧下さい。
上の方に出てくる「夕凪の街 桜の国」は超名作で必読の逸品ですが、大分時宜を外した今更感が満載です。
そしてそれ以降、延々と出てくるのは売れなさそう感に満ちた、軽薄な自己啓発本やら胡散臭い英語学習本、そして媚びたアニメイラストのjkマンガの数々。
仮にも本屋としての矜持のあるスタッフが作成したのならこんなリストにはならなかったはず…
469件もあって、興味を引いたのは一つか二つ程度でした。
年末年始に読書に親しんでもらおう、というコンセプトは素晴らしいと思いますが、中身が全然伴っていない印象です。
そこで、セールでもなければ電子化もされていない本で、Amazonがとっとと電子化しておまけにセールにすべきだった本を考えてみました。
西加奈子「サラバ!」
NHKで椎名林檎とトークしていた気鋭の若手作家。間違いなく今最もホットな小説でしょう。
先日購入したダヴィンチで巻頭に特集が組まれており、出たばかりのものですから文庫化もされてませんし、ましてや電子化なんてもっと先かもしれません。
ですから、もしもこれがKindleのセール品に上がったとしたらたぶんヤフーニュースのトップにも載るような一大事になることでしょう(^-^)
もちろん、値引き分と電子化のコストは全部Amazonが持ち、急増するであろう売上げによりそのコストは回収できるばかりか大きな利益を上げたに違いありません。
実はこの本、僕もダヴィンチでレビューを読み買いました!
まだ2章の途中と全然進んでいませんけど、読みやすい文体なのに人生の絶望とかをわりと深刻になりすぎずにさらりと垣間見せてくれたりして結構楽しんで読んでいます(^-^)
たぶんまだストーリーの前置き段階だと思われるので、これくらいにしておきます。
でも、サラバは無理でも西加奈子特集くらいは組んでくれていいと思います。
西加奈子の小説で電子化が一冊だけというのもだいぶ不満です。
プラトン「テアイテトス」
恐らくもっとも作品数が多いであろう哲学者、プラトンの電子化はほとんどなされていません。
知識とは何か、を議題にした「テアイテトス」も、そもそも電子化されてないのでKindleセールに出てくるわけがないのですが…
本屋には、多少なりとも時代に対する批判精神みたいなものを持っていてほしいな、と勝手に思っていまして。
読書して幅広い知識を、とか巷では言われるけれども、そもそも我ら人間はその「知識」そのものが何なのかすらよく分かってないんだぜ!
ってことを明らかにしちゃうこの「テアイテトス」を紹介するのは格好いいと思います。
ちなみに、テアイテトスのレビューを書いている人は大抵「議論は失敗に終わる」という、ウィキペディアの記事に影響されたような感想を書かれています。
それは根本からして間違っていると言っておきます。
「知識とは何か」という疑問に対して、一問一答式に答えが存在すると勝手に決めつけるのは愚かなことです。
答えが出なかったら議論は失敗でしょうか?そこのところから考えなおして、じっくり考えてみたい一冊です。
伊藤和夫「英語長文読解教室」
これも電子化されてません(^-^;
伊藤和夫は受験英語の神様的存在の人ですから、大学受験では一度ならず何度もその名を見かけたことと思いますし、著作にお世話になった方も少なくないでしょう。
英語学習は効率重視や中身の無いなんちゃって会話を推奨する本が非常に多いと思います。
それは自ら進んで奴隷になるに等しいんだよ、という記事を以前書きました。
そこで僕は、そんな時代の流れに逆行したチョイスを本屋にはしてほしいと思います。
ガチガチに硬質な、文法に基づく構文解析を行うことで徹底的に読み込む作業に徹する助けとなる本です。
以前書いた記事で紹介した薬袋さんの本はその基礎を作ってくれるものですが、大事なのは実践で、この伊藤和夫の本はがっつり精読をやらしてもらえる好著だと思います。
辞書を引きまくり徹底的に悩んでみましょう(^-^)
まとめ
以上ですが、最初に言ったようにセールして欲しいというよりはとっとと電子化してくださいよリストでした。
年末年始の休暇のお供としてはどれも優れていると思いますし、逆にお薦めのものがあれば教えて下さい(^-^)
Kindleストアに赤っ恥をかかしてやりましょう。