かしゆか商店第三回目は藍染め和紙。
これまでも選びぬいたその商品は美しいものばかりでしたが、しかし同時に普段遣いのしやすさなど他にもポイントがありました。
今回は「究極の青を求める」の一点勝負。
それでは今回も、店主の美しく奥ゆかしい精神に近づいてみたいと思います。
一つの到達点を求めて
店主が今回テーマとしたのは
つくり手の「もっといいものをつくりたい!」という強い想い
想いを大事にする、というのはPerfume的なこだわりでもあると思います。
言うまでもなく、こめられた思いの強さにより具現化する「表現の強力さ」を知っているからでしょう。
そこで訪れたのが、ものすごく手間のかかるという「すくもを用いた藍染め」を現代も行っている工房。
記事には各工程がいかに多くのステップを含み、大変な作業の連続であるかがレポートされています(地域性や季節性をも含んだこの行程レポだけでもたいへんな価値のあるものですが、散漫になるので僕は触れません)。
そんなことを一生かけて続けている職人という時点で込められた思いの強さも相当に感じられるわけですが…
さらなる深みを探索するのが、我らが店主の奥行き。
藍染めの和紙を見て撃ち抜かれたときの感動を、こんなふうに言っています。
まわりに青色はたくさんあるけれど、天然の藍で染めるブルーはとてもやわらかくて特別で、吸い込まれるような温かみがあるんです。
そう、このブルーは他にはない特別な色だという指摘は、まさに店主が求めていたものを見つけたという喜び。
特別だったら何でも良いなんてわけではなく…
作り手の到達したゴールをそこに感じたいというこだわりが店主にはあります。
「正解の色やデザイン」は、きっとひとつではない
「正解はない」ではなく、「ひとつではない」というところ。
店主は絶対的な一つの答えを求めているわけではないものの、全ては人それぞれで相対的と言っているわけでもありません。
やはりそこには、何かしらの到達点があるはずだと考えているのだと思います。
圧倒的な美しさを前に、感動と愛をいだきつつ、それでも奥ゆかしさは失わないという高貴な精神が店主にはあります。
これが、店主の美へのこだわりの深み。
いろいろな到達点を見てみたい。そして触れてみたい。
さらには、店に来た客一人ひとりに体験してほしい。
かしゆか商店の素晴らしさよ。
藍の魔力
藍は瑠璃の色と考えられて、昔から尊いものとされていたようです。
例えば、藍に染められた紙を使ったこんなお経があります。
藍は抗菌作用があるので数百年経ても虫食いされていないとかw驚異。
あとはジーパンの染料も藍?
インディゴですよね…
あれは、色落ちが楽しまれているので色そのものの美とは違うかもしれませんが、染料としてパーフェクトじゃないところへの親しみみたいなのが天然っぽくて面白い。
出藍の誉れみたいな藍が出てくる言葉では、藍染めの感動みたいなのが垣間見えるのも人間を感動させる色ということが言えると思います。
そして僕が藍と聞いて真っ先に思い出したのが、サカナクションのアルバムジャケット。
そんなに聴き込んだわけではありませんが、やはり記憶に強く残っているのはリードシングルの『アルクアラウンド』。
アルクアラウンドサカナクション
2010/03/17 ¥250
迷いや憂いの漂った曲調が、病んだときの心にじんわり染み渡る感じ…そういえば、青って別にポジティブな感情を映すばかりではないな、と思い至りました。
かといって、人を憂鬱にさせるかというとそうでもない。
不思議な色です。
もう一つ不思議なところを。
藍は瑠璃の色とされたというエピソードを紹介しました。
この瑠璃の色、宇宙から見た地球の色にそっくり。
地球は青かった、の青は、瑠璃の色であり、藍だったといえるのかも。