ネットで話題の洒落怖シリーズ、僕も愛読者です。
洒落怖をしのぐのは
ただ、いつも坊さんに怒られたり若干の定番化・パターン化が見られるのが惜しいところです。
さて、僕が今まで触れた読み物の中で圧倒的に怖かったものを今回は紹介します。
漫画については以前既に紹介(とてつもなく怖い漫画)していますので、今回は漫画以外でということになります。
それはラフカディオ=ハーンがまとめた「耳なし芳一のはなし」です。
恐らくこのお話を知らない人は日本人にはほとんど居ないでしょう。
アニメ版とか、紙芝居や絵本など、どこかで一度は触れていると思います。
とはいえ、改めてこれを機に、是非今一度ハーンの「怪談」冒頭に掲げられた「耳なし芳一」をお読みいただきたい。
マジで洒落にならないほど怖いです。
絶妙な舞台設定
特に絶妙なる決定打となっている設定があります。
それは主人公芳一の「目が見えない」という設定です。
これがものすごく恐怖の演出として効果的で、この上ない底なし沼の恐怖を引き出すことに大成功しちゃってます。
洒落怖でどこでつまづくかって、霊・モンスターの姿の描写です。
視覚情報による恐怖演出が凄くうまい人も居なくはないですけど、たいていの場合リアリティが犠牲になります。
「耳なし芳一の話」は、そのリスクを絶妙に回避しつつ、新たな恐怖演出を獲得しています。
これはラフカディオ・ハーンの創作ではありませんが、オリジナル作品である古典がもしかした事実に基づく話なのかもしれないというリアリティまで獲得してしまっています。
本質的に「見えない」ことによる音・湿度温度・肌触りによる描写の鮮烈さは激烈です。
洒落怖が所詮エンターテインメインとに過ぎず、本当の恐怖ではなかったとすら思わされるレベルです。
さらにその恐怖を深めるものとして、平家物語というこれまた日本人なら誰もが知っている悲劇(しかも美文)がベースにあるところが見逃せません。
素人の創作でも歴史的事実や地方の特殊な風習をベースにしたものがありますが、耳なし芳一ほど見事に「みんなが知ってる」ものをベースにした物語もないでしょう。
そんなわけで、まだまだ暑いこの夏怖い話をお読みになるのであれば、まずはハーンの「怪談」を読んでみることをお勧めします!
夢かうつつか
せっかくなのでもう一冊ご紹介します。
まあ、こっちもかなり有名な本ですが・・
柳田国男の「遠野物語」です。
これは民間伝承をまとめたものですので別に怪談集ってわけでもありません。
遠野物語のやばいところは、現実か幻想か境界がよく分からなくなるところです。
なので結果的に「死ぬ程洒落にならない怖い話」になっているものも中にはあります。
僕がゾッとしたのは死者を送る晩の出来事に関するお話です。
わりとありがちな、幽霊目撃の話なのですが…どうも現実に存在していたとしか思えない描写があり、その一文のためにかなり恐ろしい物語となっています。
ほのぼのした普通の話もあるのですが、僕は非常に痛んだ状態の古本で読んだので、なんか無駄に怖かった記憶があります。
でも、上に挙げた話とかいくつかの話はたぶんぴかぴかの新品で読んでも怖いかと思います笑