ふだんあんまり考えたりはしないけれども、人間が芸術の中で追求してきたテーマ。
それが、「生と死」です。
音楽だって作り手は人間ですから、「生と死」に無縁なわけではありません。
そんなによくあるわけでもなく、これを題材にするってこと自体、僕は高く評価したいのです。
4位 『アンドロイド feat.テンテンコ』 UKR
歌詞が公開されていないものの、聞き取る限りは死を匂わすものとなっています。
アンドロイド feat. テンテンコ
UKR
2017/01/25 ¥150
歌詞にはアンドロイドとしての「死」が予感されます。
こういう人間以外の人工物の死をもって、人間の死や存在を照らす技法はPerfume近未来三部作を愛する僕としては親しみ深いものであり、感動を催します。
3位 『夢でまたあえたらなあ (feat. nicamoq)』 Yunomi
そう、死んだらもう二度と絶対会えない。
その「絶対」は、意外と目前に現れるまで気づきにくいものです。
が。
ここには、強固な現実としてその「絶対」が立ちはだかっています。
夢でまたあえたらなあ (feat. nicamoq)
Yunomi
2016/10/12 ¥250
人が死ぬってどういうこと?とか、どうして人を殺しちゃいけないの?とか、もしも答えられないとするならば、この曲を聴きまくるといい。
失うことが何を意味するか、その重みがここにはあります。
2位 『守護霊 (feat.nicamoq)』 Yunomi
そう、死んだら絶対に会えない(繰り返し)。
でも、その人への思いがすぐに消えるわけではありません。
だから僕たちは、人の死に対して何かしらの決着…まではいかずとも、折り合いを付けなければなりません。
たとえそれが、胸を切り裂かれるような辛いことだとしても。
守護霊 (feat. nicamoq)
Yunomi
2017/10/18 ¥250
失ったあとの、「その後」が描かれたのが『守護霊』。
せめてもの救いは、ここには素晴らしい音楽が寄り添っていることです。
人類は喪失の悲しみに対して、最高の音楽を創り出して向き合い、乗り越えてきたのかもしれません。
1位 『Spring of Life (album-mix)』 Perfume
耳だけで聞けばなんとも脳天気な浮かれた女の子の軽薄な歌かもしれません。ですから、「生と死」をテーマにしたランキングの頂点にこの曲を据えることには反発ももしかしたらあるかもしれませんが…
Spring of Life(Album-mix)
Perfume
2013/10/02 ¥250
『Spring of Life』に、歌詞の表面とは真逆の消滅の物語を仕込んだのは、PVの監督を務めた田中裕介です。
彼による『Spring of Life』PVの解説が読める『Perfume Clips 2』初回版を参考にすると、その並々ならぬ情熱がうかがい知れます。
彼の、Perfumeへの深い愛と敬意が『Spring of Life』を強烈な光と闇の物語にしてしまいました。
振り付けのMIKIKO先生、技術のライゾマも完全に田中監督の意向をサポートし、出来上がったのが現在のSpring of Lifeです。
ただし、残念ながらPVやライブ動画をいくら紹介しても、Spring of Lifeの紹介にはなりません。まぐれ当たりでライブでやってくれるのを待つのみ。
僕は幸運にも、2017年メドレーの一部としてですが、メドレーにしては異例の長さで見ることが出来ました。
ソニマニ2017Perfumeレポ①これぞ極み、頂点〜ソニマニメドレー
Spring of Lifeでは何が描かれているか?というと、それは「死の恐怖」には、「真っ白に輝く生」がくっついてるんだってことです。
ただし、逆もまたしかり。
生の輝きには死の暗闇がくっついている。
どっちかだけをこの曲から感じ取るのだって自由ですが(PVで鬱になったなんて意見もありました)、できれば二つ併せて飲み込もうとしたPerfumeをこそ、ライブで見て欲しい。
「生と死」がテーマだと言いつつも、同等配分で「生と死」両方を扱って見せたのはこのランキングでもPerfume『Spring of Life』だけです。
言うまでもなく、ダントツの1位で決まりです。
ところで、Perfumeによると田中監督の撮影は超長時間に及び、それでも撮影しきれなかったシーンがまだまだあったとか…恐るべし。
それともう一点。
『Spring of Life』はSound Cloudでも特にたくさんリミックスがされているPerfume曲です。
特に素晴らしいと思えたものをプレイリストにしてみましたので、良かったらどうぞ。