実際ほとんど理解できていないのに、忘れがたい小説があります。チャンドラーの「長いお別れ」はまさにそういった小説の一つです。
イケメンと美女の世界故置き去りに
こちらの小説、筋を追うのはさして難しくないのですが行間を読むというか、含みのある言い回しの真意を探るのは非常に困難でした。
社交の世界の気取ったやりとりを、ニート時代のあるような僕が理解してしまうってのもそれはそれでおかしな話ではあるんですけどね(^-^;
けれども僕はこの小説が大好きです。それは、ある部分で僕を放置しさる一方で、大切なことをたくさん教えてくれたという事実もまた揺るぎないからです。
会社で習ったとんちんかんな常識
入社時の研修で僕もいろいろと社会の常識をたたき込まれて、今のところはそれに従って社会人生活を送っています。
でも、てんでおかしいと思うようなことも沢山ありました。
その一つが、「人の評価は行動で決まる」です。
行動して結果を残さないと、思いだけでは評価にはつながらないというわけで昇給や賞与の査定に関してはそれはあながち間違ってもいないと思います。
でも、人間の評価までもが「行動で決まる」というのは言い過ぎであって乱暴な議論だと思います。
僕が言われたのは、
「会社では評価は行動とそれに基づく結果が全て、これは日々の生活でも同じです。
人は行動を見て人を評価するんですよ」
ハア?バカじゃねーの?
って思ったんですけど(^-^;そんなことは口にせずふむふむなるほどとメモを取るフリをするくらいの社会性は僕に備わっていたようです。
ただ、頭の中ではガンガン流れるポリリズムでした。
行動が大事だというリサイクル・エコ。
そのテーマソングに、「想い」を前面に押し出したPerfume。
しかも「大事」とか「無駄にならない」なんていう、リサイクルサイドの用語を恋の歌に流用=リサイクルするという究極的な離れ業しちゃってる。
ポリリズム
Perfume
2007/09/02 ¥250
僕からすれば想いの方がはるかに大事だと感じられるのです。
でも会社は行動が大事って抜かすので、しゃーねーな、気持ちなんてゼロだけど行動はしといてやるわ、お金は必要だしってスタンスになってしまいました。
美女の言葉
さて、そこで「長いお別れ」です。
僕が美女といえば、大体はのっちのことを指すのですが今回はこの小説の登場人物のことです。
この小説の中で、主人公の私立探偵フィリップ=マーロウにある人物が依頼を出すのですが、彼はその依頼を断ろうとします。
しかし美女の次の言葉で、彼は自分の思っていたことを言い当てられたと感じてこの出会いを無駄にしたくないと思うようになります。
「人間は行動ではわかりませんよ。人間を判断するのなら、その人間を知らなければいけませんわ」
こんな台詞の拝める小説を、僕は途中で読み捨てたりはできません。
美男美女の遠い世界の物語だとしても、この世界は温かく感じられるのです。
ポリリズム擁するPerfume同様に、僕には味方に思われるのです。
余談
以上ですが、以前「長いお別れ」に関して別の有名な台詞をめぐり記事を書いておりますので、よろしければそちらも是非。
かしポン氏、いい感性してるな〜と感心してしまいました。
おっしゃるとおりで、行動が〜、結果が〜ばかり言ってる人でロクなの見たことありません。
どこでボタンを掛け違えたのか、世の中では、「他人の役に立ちたい」という気持ちは評価されなくなってきてます。
が、ここで妥協すると、ブラック企業が新入社員を叱咤するような世界に簡単に入り込むので、上っ面だけ従いながら、適度に距離を取って、早く会社のなかでかしポンさんが自分の砦を築ければいいなと思います。
あと、ポリリズムの解釈はとても新鮮で、自分もまだまだファンとして未熟だなと思い知らされました。
自分の記事で引用させて頂くこと有るかもしれませんが、そのときはどうかよろしくお願いします。
m(._.)m
こんにちは。
もともと好きな曲ではあったのですが、一番恋しいときに一番完璧な歌い出しで僕を迎えてくれたポリリズムは特別な曲となりました。
個人的な体験ではあるものの、同様な形で社会でのやりにくさを感じている方も少なくないかと思います。
それでも生活は守りたいし、僕のようにニート体験もあると引くに引けない部分も正直あります。
そんななかで、たまたま好きになった人たちの、それも代名詞的な曲に救われるというのも深い縁を感じました。
おひさまさんの記事でもし僕の記事を引用する機会がありましたら、何の気兼ねも無くご自由にお使いになってください。
ポリリズムに限らず僕の歌詞の解釈には恣意的な部分も多分にあるかとは思います。
ただ確実に心動かされた何かはあるので、それをうまく伝えられればと思っています。
温かいコメントありがとうございます、会社でもブログでも力になります(^-^)