「うちは広告やCMを出してない分値段を抑えられるんです」とよく言いますが、ホントにそんなことが可能なのでしょうか。
宣伝にお金をかける方が安い例
確かに、宣伝を行わなかったらその分の経費は浮きます。
ではその結果商品を安くすることが本当に出来るのでしょうか?
もしそうだとするなら、商品の価格には宣伝費用が折り込まれているということになるはずですが、これは相当怪しい理屈だと思います。
この仮説が正しいのだとすると、宣伝にお金をかければかけるほど価格が上がることになりますがガンガンCMを流しているからといって、必ずしも値段が高くなるわけではないからです。
マクドナルドやユニクロはガンガンCMを流していますが、誰もが知っているように、これらの企業の商品は非常に安いです。
ということは、宣伝に費用をかけている度合いと、価格の間には比例関係があるとも言い切れないのは明らかです。
宣伝にお金をかけた上で値段を下げる場合
宣伝すると需要は高まります。
しかし、価格を上げると需要は下がります。
ということは、宣伝の効果を最大限発揮するためには、宣伝に費用をかけたからといって価格を上げはしない、という戦略は充分ありえます。
逆に、さらに値下げをして相乗効果を出そうとする場合だってあります。
バーゲンセールのCMや広告などはまさに費用をかけて宣伝したうえで価格も下げるという実例でしょう。
「宣伝にお金を使う=価格が上がる」がいかに乱暴な理屈か、考えれば考えるほど分かってきます。
弱者の戦い
マクドナルドにしろ、バーゲンセールにしろ、価格を下げてでもなお経費となる宣伝費用をかけられるのは、それを回収する以上の利益を上げられるからです。
要するに、宣伝は売れるから出来ることであり、宣伝をしない、というのは売れてないということを表しているにすぎないのかもしれません。
よって、宣伝にお金をかけていない、などと自慢していうのは滑稽ではないか、と僕は思います。
本来自慢するようなことではないことを、自慢げに語っているのです。
これが単なる思い込み、つまり自社製品に対する無知からくるのなら、かわいいものです。
でも意図的に嘘をついているのだとしたら?
となるといよいよ胡散臭くなってきます。
あえてこれ以上は突っ込んで考えることをしないでおきます。
結局、我が家に営業に来て下さった某社の保険商品について契約を見合わせたのは間違っていなかったことは確かでしょう。
売りが、「うちは大手のように宣伝にお金をかけていないからリーズナブルです」だったので。