偽Perfume

ゆかちゃん「絶望がいやならワープすれば良い」

ゆかちゃん「だって夢なんだし!」イエス、こないだ見た夢の話です!

よく見る悪夢「間に合わない」

僕がよく見る悪夢の一つに、時間に間に合わないで絶望するというのがあります。

何に間に合わないかというと、それは例えば学校の授業が多いです。

社会人になって二年目だというのに、出社に遅れるという夢は全然見ません。

そしてこの間に合わない授業というのは、絶対に間に合わなければいけないものの事が非常に多く、間に合わない状況は僕にかなりの精神的ダメージを与えてきます。

こないだ見た夢では昼の13:00に間に合うために12:40までに駅にいなければならないのを、12:55に駅にいるという状況でした。

走れない

僕はグーグルマップで近道がないかを大急ぎで探して、なんとか抜け道を探し出して走りました。

でも、走れません。

走ろうとはしているのに、とてもゆっくりしか動けないのです。

プールの中か何かみたいに。

刻一刻と過ぎゆく時間に心臓の鼓動は早まるばかり、そして絶望がどんどん膨らんでいきます。

大体はその絶望を抱えたまま眼が覚めるか、他の夢に移行します。

が、こないだはちょっとした違いがありました。

泣きそうになりながら空間をもがく僕のそばに、突如かしゆかが現れたのです。

微笑みの女神

かしゆかは僕の動きがゆっくりなことを強調するかのように、ゆーっくりと僕の横を歩いて付いてきました。

焦りに焦っていた僕は、こんなときに力を貸してくれないかしゆかを恨んで、あえて話しかけずにいました。

諦めるわけにはいかない・・・と自分に言い聞かせました。

横を歩くかしゆかは、じーっと僕の方を見ているようでした。

僕が気付かないふりをしても、ずーっと見ていて、ねぇ、ねぇ、と話しかけてきました。

「そんなに絶望しているなら、ワープすればいいのに」

はぁ?何を言っているんだかしゆか、そんな戯言を言うくらいならせめて励ましの一言でもくれたらいいのに・・・

と思った僕に、かしゆかはさらに続けました。

「絶望したいなら止めないけど、絶望がいやならワープすればいいよ。だって夢だし(^ー^)」

僕はハッとしました。

そうだ、これは夢なのだ。

現実ではない。

ならばかしゆかの言うとおり、ワープだってわけはない。

僕は喜び勇んで、ワープを試みました。

もちろん、空間を移動する前にかしゆかの手を掴んで一緒にワープすることを忘れずに。

さよなら絶望そして希望

目標とする場所についた僕たちでしたが、既に13:45にもなってしまっていました。

あえて時計を見ていなかったから気付かなかったようでした。

かしゆかは「時間戻せばいいよね」

と言って僕の手をふりほどきました。

一人でもワープくらい出来るってば!バカにしないでよね的な顔で僕を見ていました。

確かに、時間を戻すことも可能でした。

でも僕は、そこまでして授業に出ようとはもはや思いませんでした。

そんなものは出られるときに出ればいい。

いや、そもそも「出ねばならない」ときではなく、「出たい」ときに出ればいい。
出たくないなら一生出なきゃいい。

時間も空間も自由に行き来できると判明した今、絶望はなくなりました。

もっとも、絶望を乗り越えた先に見えていた希望も同時に消えたように思われて、嬉しいと言うよりは感情が希薄になった気分でした。

ダンス

僕はかしゆかに聞きました。

「絶望が消えたんだけど希望もなくなっちゃったかも」

かしゆかはクールにピースして、「消えたんじゃなくて元からなかったんだよ」と言いました。

「だって、夢だしね」

再び微笑むかしゆか。

ワープも出来れば時間移動も可能だけれども、そのせいで希望も絶望もないこの世界。

目の前にかしゆかがいるものの、もうすぐに消えてしまいそうなくらい存在感が希薄になっていく気がしました。

触れたら消えてしまいそうなかしゆかに、僕は言いました。

「夢だから、もうじきお別れだろうけど」

頷くかしゆかに僕は続けました。

「もう一回だけワープしよう、せっかくの夢なんだから」

かしゆかは何を勘違いしたのか身震いして言いました。

「鼻が赤くなっちゃうから、寒いところはいや!」

僕は間髪入れずに「なら、暖かいところへ!」と言って、ワープを開始しました。

どことも知れぬ、青い空の広がる暖かな異国へと旅立ちました。

夢から覚めかけていたので空間描写は曖昧でそこがどこだかわ分かりませんでした。

でも僕は、この最後の数秒でここぞとばかりにかしゆかの手をしっかりと握って、くるくる踊りました。

かしゆかはたくさん笑って、ビビッドな青色の空間で僕と一緒にくるくる回っていました。

きっとマチスは、僕たちを見て「ダンス」の絵を描いたに違いないと僕は思いました。

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