自由奔放になんでもかんでもぶっ込んだ「孤島の鬼」は大冒険感の楽しめる極上エンタメ小説です。
二次創作多すぎw
冒頭に掲げたのは、「孤島の鬼」で画像検索した検索結果です。
イラストや漫画の類がたくさん出てきてます。
割と最近のテイストな絵柄が結構多くて古い小説にしては異様な感じです。
が、それも頷けます。
なぜなら乱歩の「孤島の鬼」は、わりとさりげに結構濃厚に同性愛ネタがぶっ込まれており、しかも同性愛を異常として笑いのネタにしたりするのではなく、かなりの純愛として描くところはもう昨今の同人界と同調しているように思われます。
手に汗握り胸が熱くなる展開力
そんな見逃せない特徴を持つ一方で、「孤島の鬼」は基本的には密室殺人を巡るミステリであり、壮大な冒険小説でもあります。
特に舞台展開の壮大さはかなりのもの。
ドラクエ3のアレフガルドやバイオハザードコードベロニカの南極みたいな、予想を飛び越える舞台変換があって手に汗握らずにいられません。
タイトルが示す「孤島」。
前半を読んでいると、一体全体孤島なんて出てくる余地はあるのか?という空気なのです。
ところが物語が流れて行くにつれて、「孤島」は姿を現し、運命がそこへと導いていきます。
この展開が胸アツ間違いなし、とても楽しい冒険小説となっています。
変態趣味も健在
そして、乱歩の特色である「変態趣味」はこの小説でも存分に発揮されます。
冒頭申しましたように同性愛は純愛として描かれているので、変態趣味の道具とはなっていません。
「孤島の鬼」で徹底的に描かれる変態趣味は、少女虐待です。
サスペリアという古いホラー映画があって、僕はニート時代に深夜ボーッとテレビを見たらやってて最後まで見てしまったのですが・・・壮麗な少女虐待が描かれていて逆にビックリしたものです。
作者の執念にも似た、徹底的に女の子を汚したい願望が実現されているように思われました。
翌週にはサスペリア2をやっていて、こっちもフルで見てしまったのですが、全然関係ない話になっていて吹いたのも良い思い出です(^ー^;
(Wikipediaによれば、サスペリアより前に作られてた同一監督作品を勝手に「2」にしたというむちゃくちゃな背景があったようです)
「孤島の鬼」でも、作者乱歩のサディスティックな執念が見られますが、ただ救いもちゃんと用意されていてそこのところは読みやすくなっています。
救いっていうか・・・何か、ノリが若干軽いんですよ。
最初は重々しいんですけど、どこかドラクエみたいなノリがあって。
主人公は序盤に恋人を殺人事件で失うのですが、その恋人の妹に出会って、何やら不思議な縁を感じるという一幕があります。
そのときの主人公のお調子者な反応は笑えること間違いなし。
恋したときの男性の舞い上がり具合がホントうまく描かれていると思いました。
そしてこれだけ壮大な物語のラストを飾るのは、一途な純愛を表す一文。
自由にのびのびと書かれたような、後味は悪くない良い小説でした。
陰獣に収録
この作品は、電子書籍では前回紹介した「陰獣」に収録されています。
陰獣はかなり短めに終わってしまって、残りの膨大なページを占めるのが今回紹介した「孤島の鬼」となっています。
陰獣は中編、孤島の鬼は長編といった感じ。
サクッとは読めませんけど、乱歩の変態っぷりとあふれる天才っぷりを知るにはもってこいの組合せかと思います。