偽Perfume

ちはやふるの名を冠するのであれば、開始数秒で千早に恋させなきゃ嘘

念願の映画『ちはやふる』を見たぞ!

結論から言うとガッカリでした。こんなかったるいの、「ちはやふる」じゃない!

戦慄の一ページ目

「ちはやふる」の凄さは、あんまり意味が無いと言われてきた枕詞「ちはやぶる」に命を吹き込み蘇らせたことにあります。

それは極限の早さを追求する綾瀬千早によって為されます。

原作では最初の1ページで、そんな「ちはやふる」のメインテーマを鮮烈なイメージとともにたたきつけています。

音を置き去りにする女、綾瀬千早の一瞬を切り取った衝撃の一コマです。

この、運動を秘めた静寂こそが「ちはやぶる」の本質だと思います。

作者はここに、これ以外ない最強のセリフを綾瀬千早に語らせます。

お願い
だれも

息をしないで

『ちはやふる』一巻より

張り詰めた極限状態に登り詰め、神々を形容する言葉「ちはやぶる」に迫らんとする綾瀬千早の姿。

それが「ちはやふる」のコアだと僕は思います。

そんな綾瀬千早に対する作者なりの敬意と親愛が、この一ページ目に込められていると思います。

『FLASH』に込められた愛

そんな愛は、実はPerfumeの『FLASH』にも見られると思います。

FLASH
Perfume
2016/03/16 ¥250

穏やかな静寂を纏いながら幕開けするイントロ。

たどたどしく揺らめくように見えて、まったくぶれない芯を見せてきた、かしゆかボーカルによる歌の導入。

折り重なる音・声が加速して描かれていく「速さの追求」とその先に見える神の領域・調和と運動の融合した世界「ちはやぶる」。

J-POPでは異質の、恋愛とは違う情熱を追求するストイックな姿が、十代の青春を全てPerfumeの活動に捧げてきたメンバー三人に重なります。

『FLASH』は「ちはやふる」への深い理解・愛なしには作られ得ない作品だと思います。

可愛いだけの広瀬すず

で、映画の「ちはやふる」です。

広瀬すずは、ホントに顔が可愛らしい。

僕の好みからは外れていますが、世の中的にはカワイイと言われるような顔なのは間違いないと思います。

でも、今の所彼女の価値はそれだけだと思います。

演技力が決定的に欠けていることもあるのか分かりませんが、綾瀬千早の異質感を醸せていなかったのは致命的だと感じました。

どこにでもいる女の子の、どこにでもある青春ストーリーをやるのなら、これでも構わないと思いますが・・・

お姉ちゃんのオマケとして充足していた少女時代、かるたと出会って世界一を目指すことにより自分の人生を生き始めるというジャンプキャラもびっくりのヒーロー精神は意識されていたとは思えません。

身長が足りないのも微妙に痛い。背がもうちょっとある女優を使えば、それだけでもヘンテコな感じが出せてよかったのに。

彼女は女優なんですから、自分の持って生まれた可愛さだけではなくて、映画の役としての魅力を出してほしかったです。

格好良くない真島太一

それでも魅力的キャラの多い「ちはやふる」、他のキャラが頑張ってくれたら何とかなったでしょうけど・・・

綾瀬千早のライバルの一人、真島太一がフツメンなのが痛い。

太一役の野村周平はアミューズの俳優らしく、一般人と並んだらそれなりに光って見えるのかもしれませんが、男臭すぎます。

普通にジャニーズから色白で華奢な美少年を誰か引っ張って来れなかったのかな?と思いました。

彼が普通のちょっといい人に留まっちゃってたら、彼に好かれる千早の凄さも霞んでしまいます。

冷遇Perfume

で、トドメがPerfume冷遇。

せっかく作品にピッタリの名曲『FLASH』をひっさげての参加なのに、『FLASH』が流れるのは最後の最後、エンドロールでだけ。

今こそ使えよ!ってタイミングが個人的には何度もありました。

かわいそうにPerfume。

全編『FLASH』まみれにしたら、広瀬すずと野村周平のイモ演技も隠せるくらいに「ちはやぶる」出来たかもしれないのに、もったいない。

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