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Perfume Genius 『Hood』は絶望の歌ではなく愛の歌

「本当の僕を知ったなら、君は僕のことをもうベイビーなんて呼ばなくなる」

Hoodという闇

Perfume Geniusの『Hood』は自己嫌悪についての歌だと思っていました。

醜い自分の姿を知れば、きっと今まで自分をベイビーと呼んでくれていた人、愛する人も離れていってしまうに違いない。

という、絶望的確信の歌です。

そんな醜い自分を隠すために用いられているのが、曲名にもある「フード」。

この文脈で圧倒的によく使われる道具は「仮面」だと思いますが、それを使わずにフードを持ってきているところに僕は深い闇を感じます。

フードは仮面ほど上手に顔を隠してはくれません。

湧き上がる疑問

本当の自分を見せるということは勇気がいることです。

受け入れられるならばともかく、否定されたときには存在自体が揺らぐような衝撃を受けかねません。

特にこの歌では、自分に自信が持てない、むしろ絶望的に自分が嫌いだと思っている人間が主体です。

でも、そこまで深く自分を憎んでいるのなら、そもそも本当の自分を見せようとなど思わないのではないか、という疑問が浮かびました。

この疑問に対する答えこそが、この歌のメインテーマに入り込む鍵になる気がしました。

醜い自分を晒すわけ

歌詞では

You would never call me baby
If you knew me true (ly?)

と冒頭とラストの二箇所で繰り返し歌われています。

本当の自分を知られてしまう恐怖に怯えているみたいです。

が、Perfume Geniusの態度はそんなに受身でもありません。

Underneath this hood you kiss, I tick like a bomb

フードの裏で、爆弾が爆発しそうなときのようにかちかちしている自分がいるのです。

ここは恐怖に怯えてビクビクしているというよりは、何もかもさらけ出したいという積極的な動機が垣間見えます。

Perfume Geniusは自身の思いとして、自分に対する嫌悪感をいだきつつも、それでもなお「本当の自分を知ってもらいたい」と思っているのです。

なぜか。

それは、愛する人に嘘を付きたくないからだと僕は思います。

フードを被るという行為自体をしたくないのです。

結果として相手に嫌われ憎まれることが分かっていながら、愛に反することをし続けることが出来ない。

つまりは、どんな恐怖すら乗り越えられるような、愛の存在が、この歌にはあるのです。

テーマは絶望ではなく…

なので、この歌には自分自身への絶望があるにはあるのですが、それがメインテーマなのではありません。

むしろ、傷つくことを悟っていても、貫き通したい愛がある。ということの方が、テーマなのです。

なんて美しい作品なのだろう…

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